流通も他のフォーマットとは異なる

2010-11-29

紙の本のフォーマット(版型)でいえば、ここ数年、マスマーケット・ペーパーバックは苦戦を強いられている。これは縦18センチ、横Hセンチほどの長方形の本で、日本でいえば、新書が5倍ぐらいの厚さになったものを想像してもらうか、あるいは京極夏匹彦の「ブロック本」といわれる長編が一番近い大きさだ。「ダストジャケット」と呼ばれるカバーはついていない。かつては、空港の売店やドラツグストアなど書店以外のところにも並んでいる、売れ筋の安い本として数字を伸ばした時期もあった。したがって紙質はかなり悪く、すぐに黄ばみ、印刷も雑だ。へたくそなコピー書類のように、字が潜み、傾いたページがある。マスマーケット・ペーパーバックは日本の文庫本にあたる、とも評されるが、実態はかなり劣るものだ。作り方も雑なら、読まれ方も雑。背表紙が割れて筋が入ることなどお構いなしにぐいぐい開いて読む人がほとんどで、中には持ち運びたいところだけをちぎり取って読んでいたりする強者も見かける。流通も他のフォーマットとは異なり、60〜70年代には取次側か雑誌や新聞といっしょに扱っていたし、返品する場合、全部を返品せずに表紙だけむしり取って版元に送り、残りの本体は売り手側か自分で破棄することになっている。